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星野研究室

【 研究目標 】

ナノテクノロジーの発展により、新しい非周期性材料(カーボンナノチューブ、金属ガラス、時効硬化型Al 基析出合金など)が次々に創製され、新機能・高品質の工業材料として期待されている。これらの非周期性材料の物性の多く(とその安定性)は、結晶では存在し得ない局所原子構造(ナノサイズ、またはそれ以下の構造)に由来すると考えられる。例えば、Zr 高濃度ZrCu 金属ガラスの安定性(とその性能)は、Zr とCu のicosahedron クラスターの存在によるとの実験的指摘がある。また、車のボディとして(10 年後の)実用化が検討されているAl 高濃度AlCu 合金(Fe 合金に比べ軽く、リサイクルも簡単で環境にやさしい時効硬化型析出合金)の強度はCu 析出相の形・サイズ((001)円盤状)で決まり、Mg 元素などの添加でその強度はさらに増すことが実験的にわかってきた。一方、金属系及び半導体系のナノスピンエレクトロニクス材料(フルホイスラー合金、磁性半導体)の電子構造・磁性は、実際の系で必ず存在する構造欠陥で大きく変わることがわかっている。Fe材料なども、工業材料作成の段階で一般的に存在する不純物の制御で品質が格段に改良されることが期待されている。我々の目的は、「非周期性材料の局所原子構造と物性の関係を第一原理電子構造計算、及び第一原理計算結果を用いる模型計算で理論的に明らかにし、新しい材料の設計に役立てること」である。
具体的なテーマ

(1)第一原理計算に基づく金属ガラスの相互作用エネルギーの解析と構造模型の構築(科研費特定領域研究「金属ガラスの材料科学」の計画研究(平成15-19年度)、基盤研究C(平成24-26年度、藤間代表))

(2)Al 基時効硬化型析出合金の原子間相互作用と析出の微視的機構の解明(東工大大学院里グループとの共同研究(金属開発センター「ナノメタル技術」プロジェクトの1つ「ナノアルミ」(NEDO 委託研究(平成14-17 年度)、国家プロジェクト)で開始)

(3)フルホイスラー合金(Co2XY(X=Cr,Mn;Y=Al,Si,Ge)など)、磁性半導体の電子構造・磁性に及す構造欠陥効果の第一原理計算(静岡大学・工学部電気電子工学科・立岡グループとの共同研究、科研費基盤研究C(平成20-22年度、平成24-26年度))

(4)Al、Fe中の不純物相互作用の解明と不純物制御による材料品質改良(新日鉄先端技術研究所(川上和人主任研究員ら)との共同(受託)研究(平成19年度より開始)、科研費基盤研究C(平成20-22年度、平成23-25年度、安里代表))
【 主な研究成果 】
(1) GGA & Full-potential KKR 法の計算プログラムを発展させ、規則合金中の不純物の電子構造計算を可能とした。(論文2 の計算に適用)。

(2)Al 高濃度AlX(X=Sc-Zn)合金の原子構造のX 依存性をX-X 相互作用エネルギー(我々の提案しているクラスター展開の2体、論文1)で説明できることを示した。(論文3-7,およびBulkMetallic Glasses Conference-V で発表)。

(3)Zr 高濃度ZrCu 金属ガラス中の局所原子構造・電子構造の第一原理計算でZr 中のC-Cu(我々の提案しているクラスター展開の2体、論文1)相互作用を調べ、ZrCu-icosahedron クラスターなどの局所原子構造安定性を調べた。(論文2, およびBulk Metallic Glasses Conference-V で発表)

(4)AlX(X=Cu,Zn)時効硬化型析出合金について、いろいろな添加元素とX 原子との相互作用を調べ、どのような組織形成が可能かを予測した。この仕事は、効率的な材料開発のために有効であり、合金設計の新たな指針を与えるものである(論文4)。
(5)Zr70Cu30 金属ガラスの物理量の温度効果を調べるための分子動力学計算用の相互作用模(Embedded-atom-metod-potentials)構築の研究を開始した(大阪大学・大学院工学研究科・渋谷(分子動力学計算)グループとの共同研究で、Bulk Metallic Glasses Conference-V で発表)

(6)Co2XY(X=Cr,Mn;Y=Al,Si,Ge)フルホイスラー合金(スピン依存量子輸送現象を利用するナノデバイス(トンネル磁気抵抗素子)として期待されている)の磁性に及ぼす格子欠陥効果の研究を開始した。実際の系では、Co とX などの位置交換(構造欠陥)により、母体の強磁性(フェルミ準位でのスピン偏極率100%)は大きく変化する。また、強磁性トンネル接合では、2つの強磁性電極(フルホイスラー合金)の間に薄い絶縁体膜を接合するが、その接合界面で母体材料の磁性は大きく変わる。今年度は、構造欠陥、界面効果を調べる準備段階として、 Co2XY(X=Cr,Mn;Y=Al,Si,Ge)の母体の磁性を本研究の第一原理計算で調べ、実験でわかってい る平衡格子定数、磁気モーメントを再現した。(日本金属学会で発表)。

【 今後の展開 】
(1)Zr 基合金の安定性を我々の提案しているクラスター展開法で調べる(3体相互作用の計算)。

(2)Zr 基合金のEAMP の構築、および分子動力学計算への応用を行う。
(3)Al 基合金の原子間相互作用の第一原理計算、および相互作用模型の構築を行う。

(4)Co2XY(X=Cr,Mn;Y=Al,Si,Ge)合金の磁性に及ぼす構造欠陥(Co とX などの位置交換)の効果 を調べるための第一原理計算を実行する。