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研究内容Research

本研究室では、密度汎関数法に基づく第一原理計算を用いて、遷移金属元素を含むナノ粒子やナノチューブの構造や磁性、金属ガラス等の非晶質系の局所構造の解明等の理論的研究を行っています。

Zr-Ni-Nbアモルファス合金中の水素輸送

遷移金属アモルファス合金は、水素燃料材料としての様々な応用が期待されている。これら合金中の水素原子の吸蔵位置,拡散過程や水素添加に伴う母体合金の局所構造の変化は,水素燃料材料としての合金の吸蔵性,透過性,脆性を明らかにする上での基礎データ(基本事象)となる。 本研究では、(1) Zr系3元アモルファス合金の種々の局所構造における、水素原子の最適吸蔵位置,最小エネルギー経路を第一原理計算により明らかにすることによって、水素原子拡散過程での活性化エネルギー等、熱力学的、運動力学的諸量について明らかにする(左図)。(2) 母体合金と水素原子の局所電子構造から、多岐に亘る水素原子の拡散過程を分類・モデル化し、もっともらしい水素原子の拡散過程を構築する。(3) 母体合金の局所構造を大きく変化させる水素原子位置とその特徴を探索し、変化前後での拡散過程の比較により、水素添加による透過度の変化や脆化過程を明らかにする。


金属ガラスの局部構造の安定性

金属ガラスは、高硬度と強靭性を併せ持つ非晶質素材で、磁性材料をはじめとして種々の応用が期待される。これらの物性は、金属ガラスを構成するナノサイズの多元素局所構造に由来すると考えられ、局所原子構造の安定性を解明することが、高性能非晶質材料の開発には不可欠となる。
 本研究では、金属ガラスの局所構造の候補となる正20面体クラスターをモデルとして、フルポテンシャルKKR法による高精度なエネルギー計算に基づき、クラスター展開法を用いて遷移金属元素間の多体相互作用エネルギーを計算し、局所原子構造の安定性を明らかにする。  
 左図は、Zr-Cu系金属ガラスの局所構造となるZr10Cu3クラスターではhcp構造よりも正20面体構造の方が安定であることを示している。これは、Zr中でのCuの2体相互作用エネルギーが正20面体構造のとき最も低くなることから説明される。
また、計算により求められた相互作用エネルギーやバルクの諸物性を再現するモデルポテンシャルを構築し、大規模分子動力学計算を第1原理計算に近い高精度で実行することを目指す。


ナノチューブ上の遷移金属クラスターの構造と物性

カーボンナノチューブ表面を覆った遷移金属は、気体に対する種々の反応性を持ち、例えばCOセンサーや水素吸蔵等への応用が期待される。また、元素に違いにより、ナノチューブ表面を2次元的に覆うもの(Ti等)、クラスターとして凝集してしまうもの(Au等)が知られている。
 これらの性質を明らかにするためには、単一原子をナノチューブ上の様々なサイトに置いたときの安定性や反応性を明らかにするとともに、表面上での吸着原子間の相互作用を含めた安定性・反応性の解明も重要になる。すなわち、吸着原子間の原子間距離とナノチューブの炭素原子間距離のミスマッチや、炭素ー吸着原子間の結合エネルギーと吸着原子間の結合エネルギーの差異等が、安定性や吸着時の構造に大きく関わってくる。
 上記を踏まえ、以下の事項について理論的な研究を行う。
 1.チタンをはじめとする一連の遷移金属元素について、左図のようなクラスターをカーボンナノチューブへ置き、その構造を最適化する。クラスターサイズを変化させたときの構造と電子状態を明らかにする。
 2.構造や電子状態の元素・サイズ依存性から、カーボンナノチューブ表面における遷移金属の気体に対する反応性やコーティングの特性を明らかにする。

SWNTブリッジサイト上のTi7クラスター


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